2015年 ヨーロッパツアー2015


第14回海外公演「ヨーロッパツアー2015」2015年3月8日(日) フィルハーモニー(ベルリン)大ホール


当楽団は2015年2月から3月にかけ第14回海外公演「ヨーロッパツアー2015」を挙行いたしました。ドイツ・オーストリア・フランスの3カ国13公演地を巡り、R.シュトラウス / 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」などを取り上げ各地で絶賛されました。

また本海外公演では石井眞木 / 日本太鼓とオーケストラのための「モノ・プリズム」を取り上げ、和太鼓ソリストとして、世界的和太鼓奏者であり「モノ・プリズム」の初演者である林英哲氏を、また和太鼓奏者として、その門下生のグループである英哲風雲の会を共演者として迎えました。今まで幾度にも渡りこの曲を海外公演で取り上げてきた当楽団ですが、プロの和太鼓奏者を共演者に迎えるのは初の試みでした。しかし、結果としては全公演地でスタンディングオベーションを頂くなど、大成功のうちに終わった海外公演でした。

2015年1月31日のリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー氏の逝去を受け、ベルリン公演ではダヴィッド / トロンボーンと管弦楽のための小協奏曲(ソリスト:当楽団首席トロンボーン奏者水出和宏)より第2楽章葬送行進曲を抜粋しプログラムの冒頭に追加いたしました。過去の海外公演におけるベルリン公演にも度々足をお運び下さるなど、当楽団と縁の深いヴァイツゼッカー氏の死を、団員一同悼みながら演奏しました。また、このベルリン公演は前回海外公演に引き続き、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団専属のインターネット放送である「デジタルコンサートホール」で全世界に生中継されました。

ヨーロッパツアー2015 新聞評

das Orchester 5月号

<彼らの専心の成果を聴いた感想>

F.ダヴィドの「トロンボーンと管弦楽のための小協奏曲 変ホ長調」の葬送楽章では美しい音色と徹底された表現力で吹かれるソロを聴くことができた。この曲は先日死去した元連邦大統領の故リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー氏の追悼のために演奏された。同氏は2005年早稲田より名誉博士号を授与されている。その26年前(=1979年)には故ヘルベルト・フォン・カラヤンもまた名誉博士号を授与されている。それ以来、ベルリンフィルハーモニーと早稲田大学交響楽団との間に活発な交流が生まれた。ベルリンフィルの団員は日本へ客演する際は毎回、この学生オーケストラと共演しているのである

3月8日のコンサート後、80歳を迎える同団名誉顧問であり指揮者の田中雅彦は語った。「早稲田なら将来のために学びつつ音楽を楽しめる。音楽大学に行ったとしても学べるのは専ら音楽だけになってしまう。」同氏は1979年以来、早稲田大学交響楽団の中心的人物であり、自身も早稲田大学の出身である 。学生時代は経済学を学びつつコントラバス奏者を務め、のちにNHK交響楽団に入団した。3年前と同様に今回もオーケストラを率いてベルリンの舞台にやってきた。

彼はカラヤンを彷彿させる控えめな身振りと芸術的とも評すべき集中力によって奏者と聴衆を導き、ニーチェの哲学的著作「ツァラトゥストラはかく語りき」の翻案作品の世界へと案内した。奏者たちは魅力的で透き通るような音楽的情緒を自在に操っていた。学問に根ざした熱情が燃え上がり歓声を上げた。そして何よりも強弱である!ppには魅惑の奥ゆかしさが、fffには超自我の力が宿っていた。ささやくようなフルート隊、朗々と歌うホルン群、ヴァイオリン・ファミリーによるビロードのように柔らかい発音。驚きは尽きることがなかった。

お次は幻の風景の中にドンファンが現れた。恋い焦がれ、若々しい激情に震える好色男である。エロティッシュな遍歴はオーボエ、トランペット、フルート、ホルン7重奏のソロにより表現される。サロメの踊りでは躍動感あふれ、そして淫靡なストリップショーが繰り広げられた。

途方も無くリズミカルに、勘所を押さえたオーケストラはモノプリズムの最後へ向けて輝き続ける。モノプリズムは石井眞木の手によるあの放埓なリズムにあふれた作品だ。石井はこの作品において、太鼓の単一な音色と西洋のオーケストラのカラフルな音色とを融合させた。その響きはさながらプリズムの光のように広がる。筋骨隆々の林英哲と「風雲の会」の6人が太鼓の前にあぐら座りをする。それぞれの太鼓が静けさをもって順々に単一の音色で打ち鳴らされていく。やがて太鼓連打が大嵐となり、次第に引いていく。それぞれの演奏者のばらばらなアクセントは集合意識を打ち破り個の境地へと到達する。グロッケンシュピール、シロフォン、チェレスタ、ウィンドマシンの騒音によるえも言われぬ音色が奔出する。3つの中太鼓の響きの中で陶酔が高まり、いよいよ林英哲が舞台後方に置かれた大太鼓を豪快な身振りで打ち鳴らす。最後には精密に組み上げられた忘我の域へと突進する。聴衆は嵐のように沸き立った。

訳:Vc.3土井 悠史(文化構想学部)

(“das Orchester” 5月号)

■フランクフルト公演

響きにおける高い順応性と正確さが、1896年にフランクフルトで初演されたシュトラウスの音楽詩”Also sprach Zarathustra” の始めにおいてすでに示された。そのよく知られた導入部では、分厚い弦楽器とコントラバスの数々が並はずれて生き生きと枠組みを形造ると同時、アルテ・オパーのパイプオルガンも動員された。さらには、山下一史の指揮のもとで、集団演奏の部分は完璧に演奏された。シュトラウスがニーチェに従いながら自由に作曲したこの作品のほぼ最後で第一ヴァイオリンがダンス曲を演奏するが、そのソロ部分をコンサートミストレスは清潔で気品よく表現した。

交響詩 ”Don Juan”において、このオーケストラは技術的正確さのさらなる具体例を示した―メンバーの誰も音楽を専攻している学生ではないにもかかわらず。林と彼のチームは、音響的にのみならず視覚的にも、筋肉隆々たる体をもって太鼓を打つという形で上演した。

(ツィップ記)

■バイロイト公演

バイロイト-大音響の太鼓の7人のサムライたち

バイロイトバイロイトの聴衆は、魅惑的なオーボエを伴った抒情的で鎮静させるような曲と踊りのような打楽器曲と、さらにもう一つの、精確に構成された打楽器の狂宴という三つのアンコール曲に拍手を送ったが、それは驚くべきことではない。それに先立ったものが異なった響きであったからだ――三曲の軽い“クラシック”がそれである。とくに、技術的にむつかしいこのトロンボーン協奏曲が、水出和弘によってきわめて生き生きと現代へと蘇生されたのである。すでに”Don Juan”からして、ホールのなかにとても若々しく開放的な響きがこだました。このオーケストラが、240人のメンバーが交代で演奏するほどにとてつもなく大きい構成だった、からなのだろうか。おそらくそうではない。

むしろ彼らが、ヨーロッパの見知らぬものと喜んで関わり合いながら、きわめて精力的にシュトラウス、ウェーバー、 そしてダヴィッドに取り組んでいたことにその理由がある。このこともわれわれは忘れることがない。

(フランク・プロンテック記)

■ニュルンベルク公演

元来、太鼓は信号の手段である。野良仕事の際の、警報や攻撃の際の。その太鼓がマイスタージンガーハレの舞台上で待機しているのを目にすると、それらが、攻撃してくる敵をひるませる一方、味方の戦士たちを陶酔感へとひき入れるのだと、われわれは想像する。最初は相撲太鼓によってささやくようなかすかな音が。しかし、林が大きな宮太鼓の前に立ち、筋肉隆々の三人が太鼓の台の後ろにボブスレーのように座ると、石井眞木の”Mono-Prism”がほとんど怪我をさせるほどのものを表現する。音楽なのか儀式なのか、それともまぎれもない攻撃性なのか?しかしながら、オーケストラに伝統的な太鼓たちも諦めるわけではない。

(ウーヴェ・ミッチング記)


公演概要

■公演スケジュール

日程公演地指揮会場
2月20日(金)フランクフルト
Frankfurt am Main
山下一史
Kazuhumi Yamashita
アルテ・オパー
Alte Oper
2月22日(日)バイロイト
Bayreuth
寺岡清高
Kiyotaka Teraoka
シュタットハレ
Stadthalle
2月24日(火)ニュルンベルク
Nurnberg
寺岡清高
Kiyotaka Teraoka
マイスタージンガーハレ
Meistersingerhalle
2月28日(土)ザルツブルク
Salzburg
山下一史
Kazuhumi Yamashita
祝祭大劇場
Grosses Festspielhaus
3月2日(月)ウィーン
Wien
山下一史
Kazuhumi Yamashita
楽友協会
Musikverein
3月4日(水)ミュンヘン
Munchen
山下一史
Kazuhumi Yamashita
ガスタイク
Gasteig
3月5日(木)ドレスデン
Dresden
山下一史
Kazuhumi Yamashita
ゼンパーオーパー
Semperoper
3月8日(日)ベルリン
Berlin
田中雅彦
Masahiko Tanaka
フィルハーモニー
Philharmonie
3月9日(月)ライプツィヒ
Leipzig
山下一史
Kazufumi Yamashita
ゲヴァントハウス
Gewandhaus
3月10日(火)オーバーハウゼン
Oberhausen
寺岡清高
Kiyotaka Teraoka
ルイズ・アルベルツ・ハレ
Luise-Albertz-Halle
3月11日(水)ケルン
Koln
寺岡清高
Kiyotaka Teraoka
フィルハーモニー
Philharmonie
3月13日(金)ヴィースバーデン
Wiesbaden
田中雅彦
Masahiko Tanaka
ルーテル教会
Lutherkirche
3月15日(日)パリ
Paris
山下一史
Kazuhumi Yamashita
シャンゼリゼ劇場
Theatre des Champs Elysee
3月22日(日)東京
Tokio
田中雅彦
Masahiko Tanaka
サントリーホール
Suntory Hall

■公演期間

2015年2月20日~2015年3月22日

■随行指揮者

  • 山下 一史(当楽団名誉指揮者)
  • 寺岡清高
  • 田中 雅彦(当楽団永久名誉顧問)

■演奏曲目

  • R.シュトラウス / 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30
  • R.シュトラウス / 交響詩「ドン・ファン」作品20
  • R.シュトラウス / 楽劇「ばらの騎士」よりワルツ
  • R.シュトラウス / 楽劇「サロメ」より7つのヴェールの踊り
  • 石井眞木 / 日本太鼓とオーケストラのための「モノ・プリズム」
                 和太鼓:林英哲&英哲風雲の会
  • ダヴィッド / トロンボーンと管弦楽のための小協奏曲 変ホ長調 作品4
                 トロンボーン独奏:水出和宏(当楽団首席トロンボーン奏者)
  • ウェーバー / 歌劇「オイリアンテ」序曲
  • モーツァルト / 歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲
  • モーツァルト / 交響曲第39番 K.543
  • モーツァルト / 交響曲第41番 K.541「ジュピター」
  • 滝廉太郎(三枝成彰編) / 荒城の月

ヨーロッパツアー2015 ギャラリー