カール・マリア・フォン・ウェーバーの作品

舞踏への勧誘 作品65

カール・マリア・フォン・ウェーバー

エクトル・ベルリオーズ編曲

30歳の時、ドレスデンに移ったウェーバーは、郊外の別荘で作曲活動を行い、「舞踏への勧誘」や「魔弾の射手」などの名曲を発表した。「舞踏への勧誘」は1819年、オペラ歌手であった妻カロリーネのために作曲された。ウェーバーが彼女に弾いて聴かせた際には、彼女によって“舞踏会で淑女に手を差し伸べる紳士と、逡巡ののち、再度紳士の誘いを受けた淑女との間で交わされる軽い会話”との書き込みが残されている。

ウェーバー自身はこの作品に「舞踏への勧誘」ではなく「華麗なるロンド」というタイトルを付けた。その名の通り、この曲ではある同じ旋律が異なる楽想を挟みながら何度も繰り返される楽曲形式である「ロンド形式」が用いられている。なお、ウェーバーによる原曲であるピアノ版は変ニ長調で書かれているが、ベルリオーズにより編曲された管弦楽版はニ長調に移調されている。ベルリオーズは、オペラ「魔弾の射手」にバレエを付け加える依頼を受け、バレエで使用する曲を作曲した際、ウェーバーの音楽を用いることにこだわり、ウェーバーのピアノ曲であった「舞踏への勧誘」を編曲した。

【序奏部】Moderato

物語は紳士の言葉を表すチェロの情熱的な誘いの旋律から始まる。誘いを受ける淑女の描写は木管楽器のやわらかい旋律によって表現される。はじめ淑女はその誘いを断るが、何度かやり取りをした後、再度紳士からの誘いの旋律が出ると、淑女はその誘いを承知し、舞踏会の場面に移っていく。

【主部】Allegro vivace

華やかなワルツによって舞踏会の様子が展開されている。このワルツはロンド形式における主題として、種々のワルツを挟んで度々登場する。やがて舞踏会は力強い和音によって締めくくられる。

【後奏部】Moderato

冒頭の序奏部が繰り返される。チェロと木管楽器によって紳士と淑女が別れの挨拶を告げる様子が表現され、静かに終結する。