劇付随音楽「夏の夜の夢」作品61より結婚行進曲
「夏の夜の夢」は、シェイクスピアの同名の戯曲をもとに作られた演奏会用序曲及び劇付随音楽である。1826年、メンデルスゾーンが17歳の時に序曲が作曲され、その17年後の1843年、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の勅命により序曲以外の劇中音楽が作られた。17年の年月を経たにもかかわらず、序曲とそれ以外の曲は、要所に序曲で使われた主題が現れるなど、よく統一がとれたものとなっている。シェイクスピアの「夏の夜の夢」は、1年で最も夜の短い夏至の夜の聖ヨハネ祭前夜の妖精や人間たちの様子を描いた幻想的でユーモラスな喜劇である。
あらすじは以下の通りである。
アマゾンの女王ヒポリタとの結婚を間近に控えたアテネの公爵シーシアスのもとに、貴族イジーアスから結婚についての訴訟が持ち込まれる。イジーアスの娘ハーミアが父親の勧める相手との結婚を受け入れないのだ。アテネの法律では父親の望む結婚相手と結婚しない娘には死刑か一生尼寺で暮らすしか道はなく、思い悩んだハーミアは恋人のライサンダーとアテネの森へ駆け落ちをする。イジーアスの望む結婚相手であるディミートリアスと、ディミートリアスの元恋人であり、彼を愛するヘレナも二人の後を追う。
一方アテネの職人たちは公爵の結婚式のお祝いに劇を上演する計画を立てていた。町の人々に知られず劇の稽古をするため、彼らも森へ入っていく。
アテネの森では、妖精の王オベロンと女王ティターニアが夫婦喧嘩の最中であった。機嫌を損ねたオベロンは妖精のパックを使って、ティターニアのまぶたに、目覚めて初めて見た人に恋をする効果のある花の汁を塗らせる。しかし、パックがライサンダーとディミートリアスのまぶたにも花の汁を塗ったために二人はヘレナを夢中で追いまわすようになり、4人の関係は混乱してしまう。一方、同じように花の汁を塗られたティターニアも、パックがいたずらして頭部をロバに変えてしまいロバ男となったアテネの職人に恋をしてしまう。
事態を収拾するためにオベロンはライサンダーとティターニアの魔法を解いてやる。ライサンダーとハーミアは元の鞘に収まり、ディミートリアスはヘレナに求婚し、狩りにやってきた公爵たちとともに2組の恋人たちはアテネへ帰る。ロバ男にされた職人も元通りになり、アテネへ帰っていく。
婚礼の夜、新婚夫婦達が見守る中、職人たちの劇が無事に上演され、夜が更けて人間たちが寝静まった後、妖精たちが祝福のために宮殿にやってきて物語は幕を閉じる。
この「結婚行進曲」は、恋人たちが結婚式をあげる第5幕への間奏曲として書かれている。トランペットのファンファーレによる導入部に続いて壮麗な主旋律が現れて喜びを高らかに歌い上げる。中間部にト長調のトリオの部分を持ち、再び主旋律に戻る三部形式となっている。

